オカリーナ、向かい合う指先

どんな楽器でも、演奏が上手な人の指先を見ていると、
見とれるくらいに美しく感じられます。

これは、スポーツにも通じることでしょう。
フォームが美しいと、記録も飛躍的に伸びるものです。

そんな風に見た目の美しさが、影響するものなのでしょうか。

ぼくの指は、太くて、ごつごつしています。
爪は変形して、いつもどこか、ひび割れています。
ギターを弾くので、左手の指先は角質化して硬くなっています。

それでもこんな手が、美しいと言われることがあります。
「美しい」というのは、もちろん当てはまらないでしょうが、
そう錯覚してしまうくらいに安定した指先の動きに
なっているのでしょう。

ほくが最初にお手本にしたのは、オカリーナ奏者本谷美加子さんの
指先でした。できるだけ早くにライブ会場に入り、
前の方に座って、指先に注目して見ていました。
もちろん、一人の女性としてもとても美しい人ですが、
その指先の美しさは今でも目に焼き付いています。

まず、彼女の凛として前を見つめる姿勢が素敵です。
オカリーナは微妙に角度を変えて音を探ることがありますが、
必要以上に姿勢まで変えて吹くことは好ましいことでは
ありません。

オカリーナを持つ、左手と右手の指先は、お互いが
向かい合う形になります。
指先が曲げられた柔らかい角度と向かい合う指先に
よって、丸みのある空間が手のひらの中に生まれます。

その丸みのある空間の中にぽっかりとオカリーナ
浮かんでいるような感じです。

オカリーナを持つ前に、この指先の形をまねてみましょう。
祈りを捧げるように、両手の指を交互にからみ合わせて
みてください。

その両手の手のひらの中に丸い空間が生まれるくらいに、
そのまま少しずつ離していきます。

この丸みを帯びた空間が、オカリーナの音色を作り出すのです。

さあ、オカリーナを持って、同じように美しい指先で
その丸みのある空間に息をそっと吹きこんでみてください。