オカリーナ、一息の風船

風船をふくらませたことはありますか。

今、目の前にゴム風船があると想像してください。
色は、あなたの好きな色で・・・。そして、
これからそのゴム風船をふくらませると思ってください。

さあ、今まさにそのゴム風船をふくらませようと、
その瞬間、あなたは自然にある行動をするでしょう。

息を・・・大きく吸いましたね。

まさに、理想的な腹式呼吸で。

なぜでしょうか。
あなたは経験上、ふくらませるのには、
「おなかの圧力が必要」だと知っているからです。

本当に圧力をかけて、風船に息を吹き込みます。

さて、目の前にあるのが風船ではなく、オカリーナだとしたら、
力をこめて息を吹き込むと、風船のように
戻ってくる圧力がないので、息がぜんぶ抜けてしまいます。

このとき、息にかける圧力を、自分の体の中に
押さえこむようにするのです。

そのまま息を出すのではなく、バランスを保つ、
その方向に圧力を使うのです。

実は、風船を膨らませようとするときには、
自分の体も風船になっています。
どんどんしぼんでいくやわらかい空気のかたまりです。
膨らませた風船の口を手で押さえているとして、
その手を離すと、一気に抜けてしまいます。

オカリーナは、かたい材質でできていますから、
自分の体もイメージとしては、空気が抜ける風船ではなく、
巨大な注射器のようなイメージです。

空気が抜ける風船は、一気に空気が抜けてしまうけれど、
注射器は、少しずつ、圧力を保ったまま、空気を出し続けます。

息を吸うときは、風船。息を出すときは、注射器。
これがオカリーナを吹くときの息のバランスです。